アウトフェイス ダブル・バインド外伝 (キャラ文庫)

「ダブル・バインド」のその後が描かれた外伝・「アウトフェイス」がメインに収録。しかしその前には、新藤が葉鳥を正式な愛人と認めた時の話・「名もなき花は」が収録されています。「名もなき花は」では、まだ成人していない葉鳥が新藤と暮らし始めて半年の頃から始まります。葉鳥の、「身体の関係は無いのに、周囲には愛人として認められている」という複雑な心理が痛々しくも、健気で可愛かった。短い作品なのですが、その他にも事件が起ったり、葉鳥が初めて知る事があったりと、内容が充実しています。とても良かったです。「アウトフェイス」は、現在の新藤と葉鳥が描かれてます。「ダブル・バインド」の後に起る事件で、新藤を命を懸けて救おうとする葉鳥の盲目的な愛に、切なくも胸を打たれました。そしてその中で、４巻で明かされた事実と向き合い、必死に自身の内面と対峙しようとする姿も葉鳥らしくて良かった。それを見守る新藤の、事件に対する揺るがない対応も良かったし、葉鳥には甘いという面を改めて認識しました（笑）本としてはそんなに分厚くないのですが、その中にこれだけの濃い内容があるって素晴らしいと思う。ちゃんと各キャラの個性が発揮され、事件や出来事がしっかりしてて、ご都合主義じゃない結末を迎えるのって凄いなと。外伝といいつつも、基礎や構成が抜けめなく、巧みな展開になっているので、読んで満足する一冊だと思います。あ、ただし暴力的なシーンは多いので苦手な方はご注意を。